9月23日、瀬戸内市邑久町に位置する「長島愛生園」を訪問しました。
今回の訪問には神奈川青年司法書士協議会の方々も参加してくださり、総勢30名の参加となりました。また、神奈川会様の主催により事前勉強会も行っていただきました。
当日は、学芸員の田村様にご解説を頂きながら、長島愛生園歴史館の展示と、施設の一部を見学させていただきました。
長島愛生園は、日本初の国立ハンセン病療養所として昭和5年に誕生しました。
ハンセン病とは、「らい菌」が主に皮膚と神経を犯す慢性の感染症ですが、その感染力や発病力は極めて弱く、また、現在では治療薬もあり、完治する病気です。
しかし、長島愛生園の開設当時は、有効な治療薬が存在せず、病気の進行に伴い、顔や手足などの目立つところが変形したり不自由になったりすることから、不治の病として恐れられ、患者ご本人だけでなく家族も含めて偏見や差別の対象とみなされていたそうです。
そのような当時の社会状況の中、昭和6年(1931年)にハンセン病患者を隔離するための「癩(らい)予防法」が成立し、患者は長島愛生園を始めとして各地に設立された療養所に収容されることになりました。
そして収容後は、劣悪な生活環境の中で、故郷へ帰ることも許されず、労働や断種、堕胎を強制されるなど重大な人権侵害も受けていたそうです。
1940年代には有効な治療薬が開発され、治療法が確立されていったのですが、国による隔離政策は、平成8年(1996年)の「らい予防法」の廃止まで続けられました。
隔離政策が終わった後、社会に復帰できた患者の方は多くなく、現在でも、長島愛生園には100名弱の元患者の方が療養生活を送っています。高齢であることや、後遺症により手足の感覚がなかったり、目が見えなかったりするという身体的な問題の他、長期間の入所により家族や社会との関係が途切れ、帰る場所がないということ、現在でも根強い差別や偏見が残っているということなどの社会的側面の問題もあるためです。
我々司法書士も様々な人権問題に取り組みますが、その問題解決の糸口は歴史を知ることにあるのではないかと改めて感じる見学会となりました。
田村学芸員様もおっしゃっていましたが、現代においても、ハンセン病問題と似たようなことが現実に起こっていると感じます。
歴史を知り、正しく物事をとらえる力を養い、いまの課題解決に生かすことが我々司法書士に求められていることで、司法書士が社会に対して何ができるのか、再度考えさせられる時間となりました。
このイベントは平成28年に開催した以降、実に7年ぶりの開催となりましたが、青年会事業としてもっと啓蒙すべきイベントであると思いました。
イベントにご参加頂いた皆様、神奈川青年司法書士協議会の皆様、ご解説・ご協力を頂いた施設の皆様、改めてありがとうございました。