AIについての研修を行いました
令和8年7月4日(土)、岡山県司法書士会館において、「はじめての司法書士AI活用入門〜今から使える業務効率化の第一歩〜」と題したAI初心者向けの研修会を実施しました。
今回の研修は当会会員司法書士(会員の家族・補助者含む)26名、当会非会員司法書士4名のほかに、岡山県青年土地家屋調査士会から5名の参加がありました。
研修の第一部では、AIの精度と個人情報の取り扱いについて講義が行われました。特に個人情報の取り扱いは慎重な判断が必要です。またAIで作成したものは最後は必ず人の目で確認することが重要です。
第二部では個人ワークとして、実際にダウンロードしたAIに一般的な質問を入力したり、簡単に遊べるゲームを作ってみました。
第三部ではグループワークとして、AIを使って関係図や財産目録を作成する作業を行いました。また日々の業務の中でAlを使って効率化できそうな作業について話し合いました。

参加者からは研修の内容について「非常に有意義だった」という声が多く、「今後、業務にAIを取り入れようと思う」との意見が多数でした。
AIを上手く活用することは、業務の効率化だけではなく、業界全体の発展にも繋がるのではないかと感じました。
今後もAI関連の研修を実施していきたいと思います。
令和8年度研修班
債務整理についての研修を行いました
令和8年4月4日(土)、岡山県司法書士会館において、「債務整理~依頼電話から終結まで~」と題した会員向け研修会を実施しました。主に債務整理の未経験者を対象に、受任のきっかけづくりにしてもらうことを狙いとしたもので、資料づくりや当日の講師も、会員が分担して行いました。
研修の第一部では、3種類ある債務整理の手続きについて、それぞれの特徴やメリット、デメリットなど基本的な知識の講義があった後、どのような形で聞き取りを行ったらよいかイメージできるよう、初回面談の実演が行われました。
第二部では、第一部とは別の事例を用いて、相談者役の人から聞き取りを行ながらどの手続きを選択するのが適切かを考えるグループワークを行いました。

今回の研修は、懇親行事の前の時間を使ったごく短時間のものでしたが、債務整理は、全く同じ条件の案件はないといってよいオーダーメイドの仕事です。実際に相談を受け手続きを進めるとなると様々な疑問が出てくることが予想されますが、そんなときに先輩や仲間に気軽に尋ねることができるのも、青年会のよいところでしょう。
参加者からは、「債務返済についての新しい視点が得られた」「債務整理をする気持ちはなかったが、とっかかりができた」「手続き選択の基準がわかってよかった」等の声が聞かれました。返済に行き詰まった人の生活再建支援の視点から、この分野に取り組む司法書士が増えることが期待されます。
令和8年度研修班 定金整司

東日本大震災から15年、福島を訪問しました
令和8年3月11日、東日本大震災から15年の月日が経過いたしました。
災害で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
さて、3月6日、福島県青年司法書士協議会主管の福島第一原子力発電所の見学ツアーに参加してまいりましたので、ご報告をさせていただきます。
発電所まではバスでの移動でしたが、道中で目にする町並みは15年を経過した今もなお復旧したとは言い難いものでした。

下の写真のように「この先帰還困難区域につき通行止め」と記載された黄色い看板とともにバリケードが設置された道路が各所に見られました。場所によっては監視カメラも設置されており、厳重に管理された区域の先には住宅が見える箇所もありました。現在もなお、自宅へ戻ることができない方々がいらっしゃる現実を目の当たりにしました。

また、道中では、仮置場として運び込まれた除染土壌が黒いビニールに覆われたまま残されている土地がいくつか見られたことも印象的でした。これらについては、2045年までに福島県外で最終処分を完了させることが法律で定められているものの、現時点ではその処分場所や具体的な方法は決まっていないとの説明を受けました。
以前は田んぼであったとの説明を受けたこの土地も、15年間耕作されなかったことで、草が生い茂っています。

発電所周辺の町には、各所にこのような線量計が設置されています。また、地元の方々の多くは携帯用の線量計を所有されているとのことでした。

震災当時のまま残されている小学校では、窓ガラスが割れたままとなっており、時計は今も14時46分を指したままだそうです。

発電所内は撮影禁止であったため写真を掲載することはできませんが、1号機から4号機をバスから降りて少し離れた場所から外観を視察しました。水素爆発を免れた2号機のみ、当時の外壁を見ることができました。当時、テレビ画面越しに何度も見た光景が目の前にありました。
見学の際には、各自、交付された線量計を携帯しましたが、見学後の私の被ばく量は0.008マイクロシーベルトでした。歯科でのレントゲン撮影を行った際の被ばく量とほぼ同程度との説明を受けました。
原子炉付近などの一部では、現在も防護服を着用して廃炉作業が続けられているとのことですが、発電所内をバスで移動する見学者の私たちはゼッケンのような薄手のベストのみを着用して見学をしました。燃料デブリの取り出しなど多くの課題を抱えながらも、廃炉に向けた作業は着実に続けられていました。
復興庁が公表している全国避難者数のデータによると、令和8年2月1日現在、岡山県内には790名の避難者がおられるとのことです。お困りごとなどがございましたら、当会までお気軽にご連絡ください。何らかの形でご支援ができればと考えております。
私自身、福島を訪れるのは初めてでしたが、お酒も食事も大変美味しく、後ろ髪を引かれる思いで帰りの新幹線に乗ることとなりました。ここではその一部をご紹介いたします。
こちらは「郡山ブラック」です。濃い醤油味のスープが大変美味しく、途中でお酢を加えることで味の変化も楽しむことができ、最後まで美味しくいただくことができました。

続いてこちらは「馬刺し」です。福島県(会津地方)は日本三大馬刺しの産地の一つとされており、こちらはおろしニンニクと醤油で美味しくいただきました。

令和7年3月の農林水産省の調査では福島県産の「米(令和5年産)」の価格は、全国平均を約3%下回っており、「牛肉」、「桃」、「干し柿」の価格は、全国平均を9~16%下回り、震災前の水準に戻っていないのが現状です。
実際に現地を訪れ、復旧・復興が進んでいる部分と、いまだ続く影響の双方を感じました。今後も被災地に思いを寄せ、私たちにできる支援を考えていきたいと思います。
「長島愛生園見学」報告
9月23日、瀬戸内市邑久町に位置する「長島愛生園」を訪問しました。
今回の訪問には神奈川青年司法書士協議会の方々も参加してくださり、総勢30名の参加となりました。また、神奈川会様の主催により事前勉強会も行っていただきました。
当日は、学芸員の田村様にご解説を頂きながら、長島愛生園歴史館の展示と、施設の一部を見学させていただきました。

長島愛生園は、日本初の国立ハンセン病療養所として昭和5年に誕生しました。
ハンセン病とは、「らい菌」が主に皮膚と神経を犯す慢性の感染症ですが、その感染力や発病力は極めて弱く、また、現在では治療薬もあり、完治する病気です。
しかし、長島愛生園の開設当時は、有効な治療薬が存在せず、病気の進行に伴い、顔や手足などの目立つところが変形したり不自由になったりすることから、不治の病として恐れられ、患者ご本人だけでなく家族も含めて偏見や差別の対象とみなされていたそうです。
そのような当時の社会状況の中、昭和6年(1931年)にハンセン病患者を隔離するための「癩(らい)予防法」が成立し、患者は長島愛生園を始めとして各地に設立された療養所に収容されることになりました。
そして収容後は、劣悪な生活環境の中で、故郷へ帰ることも許されず、労働や断種、堕胎を強制されるなど重大な人権侵害も受けていたそうです。
1940年代には有効な治療薬が開発され、治療法が確立されていったのですが、国による隔離政策は、平成8年(1996年)の「らい予防法」の廃止まで続けられました。
隔離政策が終わった後、社会に復帰できた患者の方は多くなく、現在でも、長島愛生園には100名弱の元患者の方が療養生活を送っています。高齢であることや、後遺症により手足の感覚がなかったり、目が見えなかったりするという身体的な問題の他、長期間の入所により家族や社会との関係が途切れ、帰る場所がないということ、現在でも根強い差別や偏見が残っているということなどの社会的側面の問題もあるためです。
我々司法書士も様々な人権問題に取り組みますが、その問題解決の糸口は歴史を知ることにあるのではないかと改めて感じる見学会となりました。
田村学芸員様もおっしゃっていましたが、現代においても、ハンセン病問題と似たようなことが現実に起こっていると感じます。
歴史を知り、正しく物事をとらえる力を養い、いまの課題解決に生かすことが我々司法書士に求められていることで、司法書士が社会に対して何ができるのか、再度考えさせられる時間となりました。
このイベントは平成28年に開催した以降、実に7年ぶりの開催となりましたが、青年会事業としてもっと啓蒙すべきイベントであると思いました。
イベントにご参加頂いた皆様、神奈川青年司法書士協議会の皆様、ご解説・ご協力を頂いた施設の皆様、改めてありがとうございました。


この桟橋から多くのハンセン病患者が長島へと収容されたそうです

収容された患者を消毒するために使われていました

逃走しようとした入所者などが懲罰のため収監されたそうです

療養所で亡くなりなお故郷へ帰ることができない方々の遺骨が眠っています


昭和63年に長島と本土を結ぶ橋として開通しました。
「人間回復の橋」とも呼ばれています。
令和4年11月23日(水・祝)岡山県立図書館でのセミナー&専門職による無料相談会
令和4年11月23日(水・祝)、岡山県立図書館にて、遺言に関するセミナー及び無料相談会を開催しました。


セミナーでは岡山地方法務局の遺言書保管官に自筆証書遺言書保管制度についてお話をいただきました。
今回のセミナーには現地での参加者だけでなく、webでの参加者もいらっしゃいました。遠方に住んでいるので現地までは行けないけれども話を聞いてみたいと思われている方などに対しても話を聞いていただける機会をご提供できたことは良かったと思います。
セミナー終了後には、司法書士、税理士、土地家屋調査士、法務局職員が相談員となり、無料相談会が開催されました。
例年と比べると相談に来られた方の数は少なかったですが、1件の相談に対して1業種では対応しきれない相談も多々あり、改めて他業種の方との連携は必要不可欠であると感じました。
このことは普段の業務でも同じ、と感じておられる会員の方もたくさんいらっしゃると思います。岡山青司協では他業種の方々との交流と知識の向上を目指して合同研修会を企画する場合がありますので、会員のみなさまにおかれましてはぜひともご参加いただけたらと思います。
今回の図書館相談会は節目の10回目となりました。先輩方が続けてこられたこの相談会を今後も皆様のお役に立てるように続けていきたいと思います。
パラダイムシフトコミュニケーション®️講座 第1回・第2回
(最初に小声で申し上げますが、5000字くらいあって長いのでよろしくお願いします)
5月11日、25日に行われた「集客力向上・業務処理を加速するための連続講座」の第1回・第2回に参加しました。
この講座は、医療福祉や行政をご専門とされる佐藤和美先生を講師にお招きし、パラダイムシフトコミュニケーションという技法を体験するものです。
といっても、まず「パラダイムシフトコミュニケーションって何?」というところからスタートするわけですが、ざっくり申し上げますと、「それまで当たり前だと思っていた考え方を変えて臨むコミュニケーション」とイメージしていただければ近いと思います。

私が参加した第1回・第2回においては、コミュニケーションの大きな柱である「聞く・伝える」のうち、「聞く」に焦点を絞った講義が行われました。
表題として掲げられた「透明な聞き方」とはどんなものなのか。ただ黙って相手が話すのを聞いているだけだとしたら、相手に「話を聞いていない」と思われるだけなのでは?と、講義に入るまでは内容の想像が全くつきませんでした。
まず驚いたのは、某保険会社の社員に対して、「相手の話を聞く時に自分がどのような態度をとるか」というアンケートが行われ、分類してみると72通り12パターンものスタイルがあったというお話でした。人の話を聞くときのスタイルがそんなに幾つもあるとは思いもしませんでした。また、「聞く」ことに焦点を当てた講義らしい「コミュニケーションは伝えることから始まるわけではない」という講師の佐藤先生の言葉が印象的でした。
体験型の講義であるため、ほとんどの時間は講師から投げかけられた問いに対して答えたり、グループやペアになって、出された課題について話す+聞く、というスタイルで進行します。
最初に、佐藤先生が「会社を辞めたいと思っている人」として受講生に相談を持ちかけるというデモンストレーションが行われました。ここでは、指名された受講生が返事をするのですが、「いつもの自分で応対する」という指示だったので、その通りに応対しました。その内容自体は特筆すべきことではなく、よくある会話の流れだと思ったのですが、一通りのデモンストレーションが終わった後、受講生の応対のパターンを分別してみると、同情や励まし、アドバイスなどに分類できることがわかりました。
その後、今度は受講生がペアになって、同じく「会社を辞めたい人」として相談をする、というワークが行われ、それぞれが相談する側と聞く側を体験しました。そして、デモンストレーションの時と同じく、お互いの応対について分類・評価をします。ここで興味深いのは、自分が意図していたことと、相手の受け取り方が違っていた、というようなことが、ほんの3分ほどのワークの中でも起こるということでした。
次に行われたデモンストレーションでは、1つのシチュエーションにおいて佐藤先生が12種類のパターンで応対するので、①次にまた同じ人に相談したいと思えるか ②自分のことをしっかりと扱ってもらえていると感じるかどうか という観点で観察することになりました。
佐藤先生が提示してくださった12種類の応対は、誰でも日常的にしてしまっているものだったのですが、不思議なことに、それを抽象化して表現されると、そのどれもが「相談者を蔑ろにしている」ように感じられました。
結果、「透明な聞き方」は12のいずれでもない、という結論になるのですが、これが講義の冒頭で示されていたとしても、私はすんなりと受け入れられなかったかもしれません。多少迂遠とも感じられるようなデモンストレーションとワークを経て、自分の中にそれが受け入れられる下地が出来上がったところでこの結論が示されたことで、素直に受け入れられたように思います。
しかし、12のパターンを日常的にやってしまっている私は、どうすれば「透明な聞き方」をすることができるのでしょうか。
そこで示されたのが「同意・同感・理解≠共感」でした。
初めは「相手と同じように感じるのだから、同感≒共感では?」と反発したくなったのですが、「同意・同感・理解」とは「あなたの置かれている状況はわかりました。なぜなら私も同じような経験があるからです」と、相手が話をしているはずのステージにずかずかと入っていって、相手ではなく「私」が主役になってしまうことを指すのだと解説され、またも「同意・同感・理解≠共感」がスッと腑に落ちたのでした。
それでは「共感」とはなんなのか。ここでいう「共感」とは、「あなた(=相手)」を主語としてみることだ、といいます。例えば相手が「今日は学校に行きたくない」と言っている子供だとしたら、「あなたは今日学校に行きたくないのね」と、まずその感情を受け止めることだそうです。(未熟者の私は瞬時に「何甘えてんだ学校へ行きなさい」と言ってしまうところです)
まず相手の言葉をそのまま聞き、聞いたことによって湧きあがった感情(先の私の例でいえば「怒り」)は一旦脇に置いておき、相手の言葉を聞くことに集中します。この「ただ聞く」という行為が、相手の思考を先に進ませ、本当の自己決定を引き出すのだそうです。
そうして聞き続けることで相手が次第に「本当に必要としている情報」を出してくれるようになり、そこから相手のニーズを探ることができれば、相手が本当に必要としているものが何かということが明確になります。その段階で相手に対して発するアドバイスは、すんなりと相手に受け入れられる状態になるということでした。
ところが多くの場合、「何もしないこと=悪いこと」というような考え方になってしまいがちだと思います。ここで必要になってくるのがパラダイムシフト、すなわちこれまで当然だと思っていた考え方を変えることです。つまり「何もしないこと≠悪いこと」。ここでも佐藤先生の「同情は、相手と一緒に溺れているのと同じこと」という言葉が印象的でした。慣れるまでは時間がかかりそうですが、これが活かせる場面では思考のスイッチを切り替えてやってみようと思います。
長くなりましたが、ここまでが前半の前半、第1回のレポートです。以下、第2回のレポートへと続きます。

第2回は、第1回で行われたスキルを実践してみた、あるいは実践しようとしてできなかった場面を振り返り、実践した結果どうだったか、また実践できなかった場合にはなぜできなかったのかを共有するところから始まりました。
その中で、受講生からは「話をしてくれる相手に対しては有効に作用したと思う」「話をするのが苦手な相手に対しては実践しづらく、結局沈黙を恐れて自分から色々と質問してしまった」というような事例が共有されました。対応する相手を選ぶスキルなのかもしれない、と私も思っていました。
しかし佐藤先生は、「相手がたくさん話してくれた時の自分はどうだったか?」を考えてみましょう、とアドバイスをしてくださいました。
つまり「話したい相手→黙って聞くことができる」「話したがらない相手→質問を投げなければならない」ではなく、「相手が話し出せるように自分が変化するべきだ」というのです。(これもパラダイムシフトということですね)
ここで気をつけなければならないのは、相手が話し出せるように反応しようとするあまり、安易に同意・理解を示してしまってはいけないということです。話し手は、こちらが同意・理解を示すと、「自分は正しいのだ」という感情を持ち、訂正がきかなくなります。お互いに会話の方向性が同じである場合には問題ありませんが、こちらが一度逆の方向性を持つアドバイスをした場合に、話し手はそのアドバイスが受け入れられなくなるのです。
そのようなことにならないためにはどうするか。
佐藤先生は、①事実の明確化 ②感情の明確化 ③まとめ の3つのステップを用いて、絡まった感情を解きほぐすことができるといいます。
例として、隣の席に苛立った男性が座ってきた場面を想定し、会話をしてみるというデモンストレーションが行われました。
男性との会話の中で、事実のみを拾い上げ、感情や自分の評価を入れないように返答するのは、かなり大変でした。そもそも、なんと返事をすればいいのかわからないのです。苛立った初対面の相手に対して言葉をかけるシチュエーションがまずありません。しかし問題はそこではなかったのです。
私はこのデモンストレーションを通して、相手と会話をするときに、いかに自分が相手の言葉から勝手に相手の事情を想像し評価していたか、ということに気づきました。勝手な想像と評価をもとに返事をするので、「事実のみを拾い上げる」という目標を達成することができないでいたのです。これは、自然にできるようになるにはトレーニングが必要だなと感じました。
シンプルに事実と感情を切り分け、事実のみを拾い上げて相手に返す、というやり方で、相手に思考を促せば、相手自身が様々な思考を経て自分で答えを導き出すことができるのです。
しかも、3つの要素を用いて相手の話を聞くということは、ただ黙って聞いているわけではないので、第1回の「ただ黙って聞く」よりも、さらに相手との会話が前進します。「人に話をすると思考が整理できる」という状態は、こういう時に起きるのだと思います。
ただ頭の中でぐるぐると思考を巡らせていると、本当はなんでもないようなことが、とても困難で大仰なことのように思えてくることは、私にはよくあります。そんな時でも、話を整理して聞いてくれる人がいると、思考がホワイトボード上に書かれて整理されていくかのようにクリアになっていくことでしょう。ここで重要なのは、一人で考え込むのでなく、「人が聞いてくれる」というところです。無論、聞き手の方は「聞き手と話し手の境目がなくなるように聞く」ことを心がけ、聞き手の評価は入れずに、事実と感情を切り分けて返事をすることが大切です。
講義の終盤には、「アップセット」の状態から、通常の状態へ戻る(講義の中では「アップセットからおりる」という表現がされていました)ことについてのお話がありました。
「アップセット」とは、逆上し、狼狽えて、ものごとがめちゃくちゃになり、適切に扱えない状態を指します。いわゆる「テンパる」状態に近いと思います。
この状態になると、通常できていることができなくなり、無用なトラブルや失敗を招くことに繋がります。しかし、アップセットから「おりる」ことができれば、嵐が過ぎ去ったように頭の中がクリアになり、通常よりもハイパフォーマンスな動きをすることができる場合もあります。例えば寝坊して大慌てで目覚めた時、いつもより時間がないのに素晴らしい動きで寝坊のタイムロスをリカバリーし、時間に間に合わせたという経験がある方もおられるかもしれません。
このように、アップセットが起きたとしても、そこから「おりる」ことができればいいだけなので、まずは「自分(または相手)がアップセットになっている」と認識し、そこから脱するための対策を持つことが大切なのだと佐藤先生はいいます。
その対策とは、①自分がアップセットになるきっかけ(トリガー)を知っておく ②自分のルーティンを決めておく ③アップセットしていると気がついた時には「自分はアップセットしている」と宣言してみる だそうです。
これらの対策により、ふと我に返ることができるようになれば、「アップセットしている自分」と「アップセットしていない自分」のうち、「アップセットしていない自分」の方が動き出そうとしている状態に近づくことができます。この「アップセットしていない自分」に意識を主導させることで精神が落ち着きを取り戻し、アップセットから「おりる」ことができるでしょう。
次に、相手がアップセットしているな、と感じた時には、これまで述べた「透明な聞き方」のスキルを用いて相手の思考を明確化することで、相手をもアップセットから「おろす」ことができるかもしれません。
ここまで、「透明な聞き方」と題して、「話し手がどんどん話をしてくれるような聞き方」の講義の報告をさせていただきました。
まとめますと、
1 話を聞くときには主語は「あなた」
2 同感・同情・理解≠共感
3 ①事実の明確化 ②感情の明確化 ③まとめ の3つの要素を用いて返事をする
ということになります。
私を含め、人から話を聞く時に「良い聞き手」でありたいと思う人にとって、とても学びの多い講義だったと思います。後半の「伝え方」も、どんな講義になるのか、どんな変化がもたらされるのか、興味深いです。
(月報にも今回の研修の受講レポートを投稿していますが、これの半分くらいの分量ですので、はぁ?5000字?と、読む気が起きなかった方は是非そちらを。。。)
(大木)


