『知った者の責任』とは~LGBT研修会
盛夏の候、いかがお過ごしでしょうか。毎日めちゃくちゃ暑いですね。
先日、6月30日(土)にLGBTに関する研修会を行いましたので、ご報告致します。
『LGBT』という言葉について聞き慣れない方もいらっしゃると思うので、少し説明させてください。
L(Lesbian)→レズビアン、G(Gay)→ゲイ、B(Bisexual)→バイセクシャル(俗に言う両刀の方)、T(Transgender)→トランスジェンダー(性別違和の方)の頭文字をとった言葉です。
主にセクシャルマイノリティを表現する感じで使われているようです。最近では、不適切な表現という意見もあり、『SOGI(ソジ)(Sexual Orientation & Gender Identity)』という言葉を使おう、みたいな流れになってきています。
このLGBTに関してお悩みをお持ちの方は、正確な統計は不明ですが日本の人口の約8%程度いるのではないかと言われています。これは、例えるならAB型の人とか左利きの人の割合に相当します。ということは、案外みなさんの身近にLGBTの方がいらっしゃる、ということになろうかと思います。
そういう事実があることを前提に、以下研修会についてご報告致します。
1)研修会概要
↑動画や写真を引用した勢いのある楽しい講義でした。
研修会は、前半が講義形式、後半はパネルディスカッションの2部構成です。
前半の講義では、京都から土肥いつき先生をお招きしてLGBTに関しての知見や問題点、思うところをご披露して頂きました。土肥先生は、普段は高校の教員をされていて、先生自身もトランスジェンダーの方です。
↑赤木会長はこの日のために台本を練り込んでました。
後半のパネルディスカッションは、赤木会長をコーディネーターとして、パネリストに土肥先生、岡山の高校美術教員の島村敏明先生、セクシャルマイノリティ担当の日司連理事で全青司元会長の野崎史生司法書士を迎え、そして今回の研修会プロジェクトリーダーの佐藤副会長で構成して行いました。
2)所感
第1部
土肥先生は大変エネルギッシュな方で、関西のノリを結構入れ込みながらの講義でしたので、面白く聴講できました。性に関する問題がテーマでしたから、保健体育の授業を受けているような感覚でした。
LGBTの問題を抱えている、といっても至って普通に生活している。事実上、法律上困っていることはあっても、特に身構えることはないのだ、という印象でした。
↑突然のインタビューにたじたじの佐藤本会会長。
第2部
活発な意見交換が行われました。特に心に残ったのは、島村先生が仰った『ユニバーサルさを保つ』ということです。
島村先生は、ご自身の教え子さん達がトランスの方である、という経緯からディスカッションに参加して頂きました。通常ならば、赤木さん、佐藤さん、岩田くん、浮田くんなどと、さん付け・くん付けするところですが、LGBTの問題の一環として、本人が女性と自認してるのか、男性と自認してるのか外からでは判然としない問題があります。そこで、島村先生は、誰であっても、赤木、佐藤、岩田、浮田と呼び捨てにするそうです(もちろん生徒さんに対して。)。
なるほど、こいつは便利だな~と率直に思いました。『ユニバーサルさを保つ』という精神は非常に重要な気がします。
他には、スポーツを楽しむ権利が阻害されてるんじゃないか、という話がありました。トランス男性(女→男)が男子の公式戦にエントリーするのは問題ないが、トランス女性(男→女)が女子の公式戦にエントリーするにはテストステロンの血中濃度が一定の値以下でないと認められない、ということだそうです。
練習を一生懸命しても試合が出来ないのは、選手にとってはとてもつらいことだと思います。
また、『彼氏が妊娠した』という、一瞬『(゜д゜)!?』となる相談も寄せられ得る、ということでした。
↑動画による東京レインボープライド2018の参加報告もありました。
3)まとめ
『お前には、知った者の責任がある。』
今回参加して頂いた野崎司法書士が、かつて大先輩から言われた言葉だそうです。いろんなことが学べた研修会でしたが、私にとって一番のお宝はコレだったかもしれません。
司法書士がLGBTの問題を抱えている方の支援をしていくことが、実はおせっかいではないのか?という質問に対して土肥先生は、おせっかいのはずがない、強い味方だ、と力強く答えてくださいました。
今後は知った者の責任として、セクシャルマイノリティに関する研鑽を積んで、少しでもお役に立てるように頑張っていこうと思います。研鑽のアイテムとしては、日司連が配布している市民の権利擁護ハンドブック~セクシャル・マイノリティ権利擁護編というのがあります(告知)。司法書士なら誰でもダウンロードできます。
最後に、土肥先生が講義の中で伝えてくださった国連理事長のスピーチ動画を紹介して終わります。
(近藤)
東京レインボープライド2018
「東京レインボープライド」は、「らしく、たのしく、ほこらしく」をモットーに、性的指向や性自認のいかんにかかわらず、すべての人が、より自分らしく誇りをもって、前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現を目指しています。
近年、日本各地でパレードが開催されるようになりましたが、国内では「東京レインボープライド」が最も規模が大きく、今年の来場者は15万人、パレード参加者は7,000人とどちらも過去最高だったようです。
代々木公園にはたくさんの企業や団体がブース出展をしていて、ステージでは様々な催しがあり賑わっていました。来場者はセクシュアル・マイノリティ(LGBT)当事者の方々だったり支援者(アライ)だったりしますが、誰がゲイで誰がトランスジェンダーで誰がマジョリティ(多数者)であるかなんて関係なく、同じ場所にいて同じ時間を共有し、お互いを許容し尊重し合う、そんな空気がありました。
日本司法書士会連合会もブース出展をしていて、パンプレット等を配布したり、相談ブースには多くの相談が寄せられたそうです。
5月6日(日)のお昼12時からパレードがスタートし、司法書士グループのスタートは13時30ごろでした。パレードする側と沿道で見る側とが、お互いに笑顔を交わし、「Happy Pride!」と声を掛け合い、手を振りハイタッチをしながら、約1時間かけて渋谷~原宿を歩きました。
今回参加してみて実感したことは、「マジョリティかマイノリティか」で色分けするのではなくて、「全員が違う色」なのだということ。どちらが優っていて劣っているとかではなくて、それぞれが「個」として尊重されるべきで、それなのに世の中にはマジョリティを基準としたルールしか準備されていないので、生きづらい思いをしている人達がいる。それは「平等」な社会ではありません。
セクシュアル・マイノリティの権利擁護の必要性と、司法書士は応援していますというメッセージを伝えるために皆で歩きました。暑くて疲れましたが、とても楽しい時間でした。
『私たちが未来に求めるのは、
特別な権利や、特別な豊かさではありません。
マイナスをゼロに。
同じことを同じように。
愛する人を、自由に愛する。
そんな、あたりまえの「平等」を、実現したいだけなのです。』
(東京レインボープライド2018ホームページより)
セクシュアル・マイノリティの方々も生きやすい社会になるように、司法書士が業務として支援できることがあります。
6月30日(土)に開催する研修会では、当事者の声を聴き、実務面までしっかり勉強して、今後の法的支援につなげたいと思います。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
お花見
第49回定時総会と研修
司法書士無料相談会in県立図書館
平成30年1月14日(日)、恒例の岡山県立図書館での無料相談会(3士業合同:司法書士・土地家屋調査士・税理士)を開催致しました。
相談会に先立ち、中村恵美会員を講師として、「争族にならないための相続」と題したセミナー講演を行いました。
相続の基礎知識から、遺産分割協議の方法、遺言書の作成等について、相続争いにならないようにするためのポイントを分かりやすく解説して頂きました。
参加者の皆様は頷いたり、メモを取ったりされながら、熱心に聞き入っておられました。
なお、参加者数は12名でした。
セミナー講演後、個別相談会を開催しました。
相続問題をはじめ、登記、訴訟、税務等、合計11件のご相談を頂きました。
事案によっては土地家屋調査士、税理士の先生と共同で相談に当たりましたので、我々司法書士としても大変勉強になりました。
ご参加いただいた市民の皆様、相談員として協力頂きました皆様、どうもありがとうございました。